食育(離乳期)
2021/06/02
こんにちは。衛生士の秋吉です。
今回は食育についてお話します。
皆さんは「食育」という言葉をご存知ですか?
「食育」とは、様々な経験を通して、食に関する知識とバランスのいい食を選択する力を身につけて、健全な食生活を実践する力を育むことをいいます。
近年、栄養の偏りや不規則な食生活、肥満などそれによる生活習慣病が増えています。
このような食の課題の解決に食育を通じて「食べる力」=「生きる力」を育むことが重要と言われています。
では、歯科と食育とはどんなつながりがあるでしょうか。
最近お子さんの食の悩みを抱えているご家庭が多いようです。内容として、偏食や食べるのに時間がかかる、むら食い、遊び食いなどがあります。
これらの悩みは、食べる機能の問題と繋がっていることがあります。食べる機能は、おっぱいに吸いつく力(原始反射)のように生まれつき備わっているわけではなく、離乳食の始まりと同時に毎日の食事を通して、段階的に身につけていきます。
*離乳食の開始*
離乳初期(5~6か月)
離乳食をなかなか食べてくれないのは何が原因なのか、、、
今までおっぱいを原始反射で飲んでいた赤ちゃんにとって離乳食は想像以上に大きなハードルです。離乳食を始める時期を見極めながら焦らずにいきましょう。
Check Point!
・まだ歯はありません。
・お口に指を持っていくとチューチュー吸ったら原始反射が残っているサイン。(離乳食はまだ早いかもしれません)
・下唇をクルンと内側に巻き込むようにして、ペーストをお口の中に取り込みます。
・食べる意欲は、食べる機能が準備されるとともに育つもの。食べたがらない時は2週間ほどお休みをおすすめします。
・お口と胃腸の発達はつながっているので、早すぎる離乳開始は下痢の原因になる可能性も。
離乳中期(7~8か月)
下の前歯2本が生えてくる頃から、上唇も良く動くようになり、舌の動きも活発になってきます。舌を顎の天井まで持ち上げられるようになり、お豆腐のような少し形のあるものを顎に押し付けて上手につぶせるようになります。その時赤ちゃんはつぶれるかな?舌触りは?と硬さや感触を学び安全に飲み込めるものかどうか判断しています。
Check Point!
・お口の奥にスプーンを突っ込んだり、上唇の裏に擦りつけるようにして食べさせるのは、触って感じ判断するための機能と感覚を育てるのに不利になってしまいます。スプーンの横側からお口の前の方に入れてあげるのがベスト。
・モグモグしているように見えても、噛んで食べられるのはまだだいぶ先。
・食べ物を舌で上あごに押し付けてつぶすたびに、キュッと閉じた唇が左右に引っ張られます。
・「食べる機能」と「意欲」を育むために、食事の効率が多少悪くてもよしとしてあげてください。
離乳後期(9か月~)
下あごをモグモグ動かす「噛む」動きが始まります。ただ、奥歯はまだ生えていないので、本格的なカミカミはまだ先です。この時期口に少し遅れて手の発達も始まり、「手づかみ食べ」を始めます。
口に詰め込めるだけ詰め込んでは出してを繰り返し適切な量を学びます。
Check Point!
・前歯が生えそろいます。
・離乳食の進め方が急だと、噛めずに丸のみしてしまったり食事への警戒感でイヤイヤが長引くことも。焦らず進めましょう。
・手づかみで食べるようになりますがまだ慣れていないので散らかし放題。将来道具を使って食べる訓練なので大目に見てあげてください。
・スプーンで与えてばかりで、食べる意欲がそがれて受動的にならないよう、手づかみ食べをしたがる時は出来るだけさせてあげてください。
離乳完了期(1歳、1歳半~)
この時期のポイントは「かじり取り」。適切なひと口量が分かるようになり、自食が様になってきます。
機能の発達とともに、食べる意欲も育ち自分で!という自己主張が始まります。
Check Point!
・奥歯が生え始めます。
・一口サイズに切って与えていると、かじり取りの練習になりません。離乳食に手をかけすぎないことも大切です。
・一口サイズのものをフォークで与えていると、ガバッとお口の奥まで突っ込み、よく噛まずに飲み込む癖が付きやすいです。
・お子さんの食事時間と親御さんの食事時間を分けず、一緒に食事をして食べる意欲や食材への好奇心を刺激してあげましょう。
お子さん一人ひとり、何かしら苦手なこともあると思います。毎日の食事の中で成長に合わせて少しずつ食べる力を育てて行きましょう。
食べる機能の問題はちょっとしたアドバイスで改善するお子さんも珍しくありません。何か気になることがあればいつでもご相談ください。
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