横田デンタルクリニック

精密むし歯治療

精密むし歯治療

2022/03/15

先日、当院の歯科衛生士である松永さんと一緒に、「マイクロスコープを用いたダイレクトボンディング治療(精密むし歯治療)のアドバンスコース」を受講してきました。

 

当セミナーのベーシックコースは昨年の4月に受講しており、待望のアドバンスコース受講となりました。

 

ベーシックコースでは、臼歯部ダイレクトボンディング(kyu-shu technic)を学び、アドバンスコースでは、前歯部ダイレクトボンディングとVPT(歯髄温存療法)について学びました。どの処置も、マイクロスコープが必須の治療であり、精密治療として歯の長期的な予後を考慮した施術となっています。

 

私たち歯科医師が、日常臨床でよく行うむし歯治療ですが、その多くが再治療です。つまり、以前どこかで治療した歯が、またむし歯になってくるのです。

治療したからと言って、安心できないのです。一度治療すると、治療していない歯よりも、むし歯になる可能性が高くなると言っても過言ではありません。

そして、再治療を繰り返して、どんどん歯は削られ、ついには抜かなくてはいけなくなる可能性もあります。この悪循環をRepeated Restoration Cycleと言います。

 

このRepeated Restoration Cycleをなるべく早く止めることが、歯を長く残す上でとても大切になると私は考えております。

 

では、どうすればよいのか?

 

一般的に、むし歯治療で大切なのは、むし歯は取り残してはいけないが、なるべく歯も削りたくないということ。しかし、人の歯はとても小さいのです。小さくてとても見えにくいことが、「むし歯と取り残さない、歯を削らない」ことを難しくし、その結果、むし歯の再発につながっている可能性があります。

なので、「視える」ようにすることがとても重要なのです。小さいものは大きく拡大してしっかり「視て」、間違いなく精密に治療するということ。

 

ダイレクトボンディングとは、マイクロスコープ(最大20倍)の拡大視野で行う、精密むし歯治療なのです。また、「視える」から、その治療工程も多く複雑となります。

一回の治療時間も保険のむし歯治療と比較すると長くなります。歯1本あたり1時間以上は治療時間として頂く事が多いです。

「1本のむし歯治療に1時間以上!?」

と思われるかもしれませんが、その歯の寿命を永らえさせる可能性を考えると決して長くはないと、私は思っております。

 

精密むし歯治療2

次に歯髄温存療法ですが。

 

皆さんは、歯を失う原因の1位は歯周病、2位はむし歯であることをご存じかもしれませんが、3位に歯根破折というものがあります。

歯周病やむし歯での歯の喪失は、定期健診、メインテナンスにしっかり通うことで防ぐことが可能になることが多いです。

しかし、定期健診、メインテナンスに通っておられる方でも歯を失うことがあり、その原因の多くは、歯根破折によるものなのです。しっかり、意識高く予防に心掛けている方達でも、この歯根破折というもので歯を失うリスクはあります。

 

そして、この歯根破折に大きく寄与してしまうのが、歯髄(一般的にシンケイと呼ばれる)の有無なのです。

過去の治療で、歯髄(シンケイ)を取っていないかどうかが極めて重要なのです。

 

歯医者では、むし歯が大きい時「シンケイを取る治療」をすることがあります。この治療を行うと、歯の強度が低下してしまい、歯根破折を起こす確率が高くなってしまいます。

もちろん、シンケイを取らないといけないこともあります。

 

ただ、少しでも残せるシンケイは残したい、

 

「どこまでが残せないシンケイで、どこからが残せるシンケイなのか」

 

それを診断するためにはやはりここでも、よく「視る」ことが重要なのです。

マイクロスコープでの拡大視野下で診断し、すべてのシンケイを除去するのではなく、

除去すべきところまでにとどめて、部分的でも可及的にシンケイの温存に努めることが、その歯の寿命に大きく関わってくるのです。

 

 

また、今回のセミナーは歯科衛生士も参加し、マイクロスコープでの診療のアシスタントワークや、ラバーダム防湿などについても学び、共にマイクロスコープ下での精密診断や精密治療の重要性を再認識することができました。

 

樋口惣先生、木南意澄先生には、ベーシックコースを受講以来、何度もフォローアップをしていただき、感謝の念に堪えません。また今回のアドバンスコースでさらに治療の幅が広がったと感じております。

 

これからも、より多くの患者様にマイクロスコープを用いた精密治療を届け、多くの歯を守っていきたいと考えております。

精密むし歯治療3

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